AIが作曲から映像制作まで?人間との「クリエイティブ」な共存の未来【PR】

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ANCHOR代表の森下さんより、記事を寄稿していただきました。AIによる作曲についてのコラムです。

音楽を作る人間として、大変興味深いテーマでしたので掲載致しました。ぜひご覧ください。

AIが作曲から映像制作まで?人間との「クリエイティブ」な共存の未来

AI (人工知能)やディープラーニングという言葉がメディアに溢れるだけではなく、最近は実用的な活用のアイディアを多く見かけるようになりました。

AIというとUARTマイコンなどの電子技術と組み合わせて自動運転を実現したり、IoTで取得した非構造データを分析して予知保全や人の管理に活かしたりといった事例の数々からロジカルで数学的なイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

このような「テクノロジー」と対極にあるのが「クリエイティブ」という印象がありますが、近年AIを使った興味深い芸術分野での活用事例が増えてきたことも事実です。例えば、音楽作成や映像の世界で活用されるAI技術の開発は、ここ数年でだいぶ進みました。

今回の記事ではそんなAIの「クリエイティビティ」に注目して最新トレンドをご紹介していきたいと思います。

音楽を理解するAI 作曲家は不要になるのか?

2019年7月末、今話題のソーシャルメディアTikTokが英国のJukedeckを買収したことが話題になりました。Jukedeckの創業者兼CEOでもあるEd Newton-Rex(エド・ニュートン‐レックス)の肩書はTikTokの親会社のByteDanceの「AI研究所のディレクター」とのこと。原文の報道はこちらから → AI-music firm Jukedeck’s CEO now runs AI Lab of TikTok owner Bytedance

今注目のエンターテインメントビジネスの重役がAIの肩書を持つということは、今後の音楽市場に必要な戦略を物語っているように思われます。

実際に、今後BytedanceがTikTokのなかでAIによって選曲された音楽をユーザーに提案するなどのサービスが期待されています。こういったAIと音楽の融合は、テキストマイニングや画像解析の進歩によって実現されます。

このようなテクノロジーによって技術的には、SNS上の過去の投稿や登録プロフィール、閲覧履歴から、ユーザーの心理状況や嗜好の分析をして、ユーザーが求める「ムード」という情緒的な側面までも判別できるようになっているのです。

こういった技術のおかげでAIによる作曲も可能になりました。歌詞の意味やポジティブ・ネガティブの語彙認識、そして音の組み合わせによる構成、表現を事前に機械学習にかけることで、自動作曲することができるそう。

ただ、音楽の世界ではなにもかもAIがあれば済んでしまうというわけではなさそうです。

ITmediaの取材に対して産業技術総合研究所 主任研究員の深山覚氏は人間ならではの創作活動の必要性を述べられていました。「自動作曲が進歩しても作曲家は必要」「自動化を進めても外堀式で人間の創作を探求」することをお話しされていました。

確かに、音楽の「良し悪し」は聞き手次第。明確な基準を設けて評価することが難しい世界です。それゆえAIだから完璧、良い、といった単純な話ではなく、「バイアスを超えて思いもかけない構成のアイディアを与えてくれる」そして「それを上手く人間側が利用しながら、創作を深められる可能性が高まった」という点が大きな貢献といえるのでしょう。

琴線に触れる映像を作るのはAI?プロクリエイター?

少し前になりますが、2016年WatsonというAI API技術を持つIBM社が映画の予告編を自動で作成する、という試みが話題を呼びました。

人工知能をテーマにしたスリラー映画「Morgan」の予告編に使うシーンを10つ選んで組み合わせて、プロのクリエイターが制作したものと比較してキャンペーンを行うというものでした。

早速、それぞれの予告編を見てみましょう。どちらがAIで作ったものか分かりますか?


どちらもMorganの幼少期からその半生を振り返る構成になっていて、不気味な後味が映画本編を見てみたくなるような終わり方になっていますよね。同じ映画でも切り取り方でだいぶ違う予告編の見せ方ができるのだと分かります。

さて、AIが作った予告編の想像はつきましたか?正解は「1つ目」の予告編でした。

IBM ResearchのコメントによるとWatsonは映画の中のムード、アクション、キャラクターの感情をデータ化して分析することで、予告編を制作することに成功したといいます。しかしその一方で、映像制作の領域でも「人間の監督が必要だ」とも言及しています。

最後に

AIの進化はめざましく、特に音楽作曲や映像制作といった「クリエイティブ」な分野でのテクノロジー進化は近年ますます盛り上がってきています。

しかし、今回取り上げたどちらの事例でも現時点では「AIで創作活動が完結するわけではない」と結論付けられています。

近年ではRPAによる自動化システムの進化が人間の仕事を奪うかという議論もありますが、当面芸術においては、AIテクノロジーと共存して私たち人間の創造性、感受性をさらに広げるという試みが続くでしょう。今後もその進化からはますます目が離せません。

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